差別や偏見に翻弄された日本人
多摩全生園を訪れたとき、私はこれまで感じたことのない深い思索にふけりました。私がこの場所に足を運んだ理由は、単に市内にあるからというだけではありません。小中高時代、私は人権問題について教師と激しく意見を交わしてきた経験があり、その延長線上で、どうしても自分の目で見ておきたいという思いがあったからです。そこには歴史の中で忘れ去られがちな人々の静かな歩みが刻まれていました。
館内でハンセン病の歴史を振り返ると、日本社会には長い間、ハンセン病に対する差別や偏見が根強く存在していた